連載:滴水洞 012

再びみたび教育革命を!



2006年08月26日13:09

前 田 年 昭

編集者

最近,中国福建省のある市での,高校入試で高額納税者の子どもに対する優遇が報じられた。

「中国:高額納税者優遇 子供の入試に得点加算 福建省の市」毎日新聞2006/8/7付
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news
/20060807k0000e030013000c.html

「まぁ中国はなんて野蛮なんでしょ」と憤慨してみせるのが,崇米IT革命に屈し,“ものを視る目,感じる心”を喪失した見方。これに対して,国連の「高等教育の漸進的無償化」勧告〔関連リンク:http://www.jfpu.org/2006data.htm ほか〕に対してずるずると留保を続ける日本政府とて同罪,どこに教育の機会均等など存在するのか,と目前の日本の現実にひきつけて見るのが日本文化大革命の見方である。いまこそ,腐臭を放つ日本と中国の教育制度に対して日本と中国の青年は文化大革命という「むほん」を起こすときではないだろうか。

今夏,私が書いた「「むちゃくちゃだ」と「すばらしいことだ」 日本文化大革命四十周年に際して」
http://www.linelabo.com/bunkaku40nen.htm
のなかでも紹介したが,1966年6月6日,北京の高級中学生(日本の高校生にあたる)が提起した旧進学制度廃止要求の檄は,すばらしい。これは,いま読み返しても,当時から私が文化大革命に共感し,正しいと思ったことは間違いではなかったと確信できる檄文である。

『中国プロレタリア文化大革命資料集成 第一巻』東方書店1970年から一部抜粋して紹介しておきたい(pp.351-355)。

【親愛な党中央,親愛な毛主席
 わたしたちは,北京市第一女子中学の本年度卒業予定の高級中学生です。わたしたちは,革命的なはげしい感情にもえて,あなたに手紙をさしあげます。それは,あくまで革命をおこない,すべての旧教育制度を徹底的に粉砕しようとする,わたしたちの決意を表わすためです。

 世界革命が発展し,わが国の社会主義文化大革命が一歩いっぽ深まるにともなって,わたしたちはつぎのことをますます深く感じとっています。それは,われわれの世代の青年が,まさに,中国革命と世界革命をひきつづき前進させるうえでのきわめて大切な世代だということです。〔中略〕中国の社会主義革命を最期までおしすすめ,帝国主義,修正主義,各国反動派を一掃し,世界革命を最期までおしすすめる重任は,われわれがになわなければなりません。〔中略〕今回の文化大革命のなかで,ふるい大学入学試験制度を粉砕する責任は,まず第一に,わたしたちの肩にかかっています。わたしたちは現行進学制度にたいするわたしたちの見方をのべてみたいと思います。

 わたしたちは,現行進学制度が数千年にわたる中国封建社会の旧科挙制度の延長であり,ひじょうにおくれた,きわめて反動的な教育制度である,と考えています。〔中略〕現行の教育制度は,毛主席の指示にしたがってつくられたものではありません。それは,実際には,肉体労働と精神労働,労働者と農民,都市と農村の三大差異を拡大し,存続させるものです。その具体的な罪状はつぎのとおりです。

 (一)多くの青年を,革命のために学習するのでなく,大学の入学試験をうけるために書物の山に頭をつっこみ,政治に関心をもたせないようにしています。「高尚なのは本を読むことだけだ」とか,「名を成す」とか,「一家を成す」とか,「個人的に奮闘する」とか,「白色専門家(ブルジョア専門家の道をすすむ=訳注)」とか,搾取階級の反動思想に,つよくそまっている生徒も少なくありません。現行の入試制度は,こうした思想を助長しているのです。

 (二)多くの学校に進学率を一面的に追求させ,もっぱら「優等生」を入学させる。多くの「特殊」,「重点」学校をつくりだしています。これらの学校は,本だけにかじりつき,政治に関心をよせない一部のものに大きく門をひらいて,労働者,農民,革命的幹部の多くのすぐれた子弟には門をとざしています。

 (三)学生の徳,知,体の全面的成長を,はなはだしく妨害する役割をはたしています。とくに,徳育において,そうです。このような制度は,青年の思想の革命化を根本的に無視しており,その本質は鄧拓ら黒い一味のいう「資質に応じて教え」,「資質に応じて用いる」というものです。

 したがって,このような進学制度は,資本主義の復活に奉仕するものであり,新しいブルジョア分子,修正主義分子を養成する道具であります。鄧拓ら反党の黒い一味がそれを最高の宝物としてもちあげ,アメリカ帝国主義が得意満面で「平和的転化」の期待を中国の「技術官僚」,「イデオロギー専門家」に寄せているのもなんら怪しむにたりません。……】

(おわり)


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