託すのではなく、創る、動かす


2020年6月、東京都知事選をめぐるAとBとの対話


B
(6月13日 22:38)
Aさま ご無沙汰いたしております。山本太郎さんが出馬との噂をきいて、ヤキモキ。ここは政治的道義的に判断して欲しいと「れいわ新選組」外野からですが……
A
(6月13日 22:57)
私は山本太郎さんは出ないと思っています。ありえないと。告示まで注目を引きつけ引っ張って、宇都宮さん応援宣言で雪崩れ込み、小池スポットライトをふっ飛ばそう、ではないかな、と。
B
(6月15日 15:28)
仮に、Aさんのおっしゃるとおりだとしても支持できません。そのような手練手管でなく、人民は分かりやすい対決を望んでいますから。以前から危惧していたことですが、山本太郎さんにはそれなりにいいところがあるのに、台無しです。
A
太郎さん出ましたね。会見みて、納得。小池になんとしても勝たなくてはならない。
B
何としてでも勝たねばと思うなら、前の知事選の歴史的教訓から学ぶことが必要です。
A
まず投票率を無茶苦茶あげないと、ぜったいに勝てないですよね。この今の虚無感は、普通の選挙じゃ突き破れない。山本太郎の危機感は、肌身に感じて凄まじいのでしょう。劇薬投入。
(6月15日 15:55)
予定不調和! けっこうじゃないですか!!
無風小池テニスコートを吹き飛ばし、山本太郎か宇都宮かの激戦選挙にしたらいい。小池が政策論争をシカとするから、選挙で議論もできない。宇都宮と太郎で政策論争をぶつけ合うことで、選挙を選挙にし、小池を吹っ飛ばす。それができてこそ、都政都民、民主主義の再生も望めるのでは?
両者の競い合いを通してオリンピック中止は自明となり、都政は次の次元に移行する。小池はお呼びでない。宇都宮、山本太郎、小池の3分立で宇都宮か山本太郎のどちらかが競り勝つ選挙にする。そうするしかないでしょう。健全な競い合いに持ち込んで、二人で都政をやってほしい。――と、いう気になりました。
山本太郎は根底から新しい発想の持ち主である。よって、革命家だと思いました。学び合い。宇都宮さん本人にしても、小池相手に暖簾の腕押しより、太郎とがっぷり四つの方が、未来にかけてファイト全開じゃないか! 投票率を掘り起こせ、掘り起こされた土壌に小池はお呼びでない。
太郎立候補はありえない、したらガッカリだと思っていたのに、スッと希望が閃いて、われながら意外です。
前回の教訓は、宇都宮さんが譲っても、野党連合鳥越は、まるで届かなかった。同じように、宇都宮さんに一本化しても届かないだろう。割って合わせて2では負け。
宇都宮と山本太郎、それぞれ立って、結果二人の得票が合わせて3になるなら、たとえ小池が漁夫の利を得たとしても、明白に、小池否定が都民世論となる。オリンピック辞退など、小池にはできない、言えもしない。
B
(6月15日 16:50)
Aさんと私の意見の一致する点は「前回の教訓……合わせて2では負け」です。中核派はじめ新左翼「元活動家」の多くは、そのような小手先の野合統一論から宇都宮さんに辞退を迫った。彼らには、下層に立つという立場、無私の精神がない。しかし、真の統一とは何か。ひとえに地に足がついた政策論議以外にありません。労働者の立場に立つ、この立場からの提起がないかぎり、信頼されないでしょう。両陣営の真剣な人びとがどう思っているか、事実に耳を傾けてください。
A
(6月15日 19:10)
論争を経ることによって、最終的に、真剣な人の票と、新たに掘り起こされた票も宇都宮さんに向かわせたいです。労働者からの提起を響かせるには、どうしたらよいか? Bさんは具体的にどうお考えですか?
B
偽の論点、たとえば経済か命か、の欺瞞を徹底的に暴くこと。致死率100%の失業とはかりにかけるからこそ、自粛だアラームだと言われても通勤しつづけるのです。オンライン何とかでやれる上級国民の生活は、逃れようのない製造・運輸・交通労働者の犠牲のうえに成り立っていること。これは倫理ではなく、社会体制、構造の問題です。
今次パンデミックで、これまで考える時間も機会も奪われてきた人びとが初めて国会中継を目にする機会を得たこと、家族がいても残業に終われて話す時間すらなかった人たちが、不安や憤りを話す機会に巡りあえたことは、「不幸中の幸い」です。真の革命家なら、じっと情勢をみきわめ、最も虐げられているがゆえに最も普遍的な人びとに目を向けるはずです。
たとえば、赤木さん問題。スローガンは、#赤木さんを忘れない、ではないはずです。支援する、署名するという運動はしょせん外野からの、線香花火にすぎません。自らの立場を明らかにし(訴苦運動!)、私も同じ目に遭ってる、俺も同じことをされた、という、運動でなければならないと思います。
問われているのは、体制転覆か体制改良か、です。目前の選挙に目を奪われて、分断を許してはならないと思います。毛沢東の国共合作は、労農大衆自らの力が打ち立っていたから成し得たこと。労働者の主体的力量が不足しバラバラなときに、上だけで合従連衡しても砂上の楼閣です。歴史の教訓とはこういうことではないでしょうか。
客観的にみて、悔しいですが、宇都宮さんも山本さんも、選挙では小池に勝てる力を、いまのところ持てていません(たとえ万一、Aさんが当初予想してらっしゃったように合流したとしても!です)。分析できる力が左翼になさすぎです。〔Bは、この段階までは、どちらかというと宇都宮支持だった〕
A
つまり、今の段階ではどのみち、負け、ってことですね。何もせずに負けるがままか?だったら、どんなにダメでも問題提起、議論の呼水とするしかないでしょう。
B
そうではありません。目先の(しかも選挙だけの)勝敗ではなく、一歩一歩基本的な力量、団結を広げることが肝腎だと、『共産党宣言』は教えています。
Aさんの義侠心と行動力には共感し敬服していますが、一時の感情では、勝てないのです。「真の革命家」というなら、私は前回身を引いた宇都宮さんの苦渋を思うべきと思います。共産党も新左翼も「退くべき」と言ったのですよ!
A
みんな苦しんでいる。
地元で長年やっていて、閉めた店がいくつもあります。うちのまわりのお店をやっている人、働いている人たちで、デモに行ってみたい、声あげないとダメだ、という人が増えています。宇都宮さんのチラシを積極的に受け取ってくれるようになりました。国会のことが話題にでるようになりました。これは今までなかった。
勝てないでしょうが、生活圏の身近な人に態度表明して、話せる環境を広げているつもりです。私にできるのは自分が冷笑主義に引きずられないでいること、せめて。
B
前回、苦渋の辞退した宇都宮さんの気持ち
【東京都知事選】宇都宮健児氏が出馬を断念した内幕を明かした! 「早く降りろ」と大量メール 「これでは市民運動は衰退する…」sankei.com
https://www.sankei.com/politics/news/160814/plt1608140001-n1.html
を想うなら、もろ手をあげて山本さん万歳は言えないはずです。とくに草の根で宇都宮さん支持で動き始めた人びとに、いったい何といって説明するのか。
A
ことここに及んで、山本太郎を批判しても益はなく、分裂イメージを広げ、小池を利するだけに思います。分裂よりも、政策の議論場増やしに使うに如かず。選挙報道を実のある都行政をめぐる比較検討、批判に向かわせる。都民選挙民が声を出してゆくきっかけになればいい。
B
「冷笑主義にだけは与しない」点だけにエールを送りますが、はっきり言えばご都合主義としかいえません。先日まで、宇都宮支持で私にまでメールしていたではありませんか。
A
諸手をあげて万歳なんて、言えるわけないじゃないですか!!!!!!
はなから。それでも
B
両陣営のいいところを知っているAさんだからこそ、仲に入って、論議を作り出せるのではないでしょうか!
A
そう、否定できません。御都合主義です。
B
ちょっと待って、ひと呼吸いれて、先ほどの4年前の記事をゆっくり読み直していただけますか。それから論議しましょう!
A
周りに蠢いている選挙プロみたいな人々が、一番のガンだと思います。今の選挙の仕組みが、いや近代日本の選挙の仕組みが、ダメなんだ。
B
繰り返しますが、前回(および前々回も)の宇都宮さんの総括をゆっくりお読みください。「いろいろな意味で野党側の惨敗です。この結果を、野党4党と市民連合は直視すべきです。惨敗の総括をして原因を突き詰め、改革を進めなければ同じことを繰り返すだけです」
歴史に学ばず突撃を繰り返すのは無責任だと、思います。
A
私がXさんの「宇都宮健児さんを板橋から応援する勝手連」に加勢するのは、まさに選挙ど素人が立ち上がったのに感動したからです。素人の乱。
鳥越と山本太郎はまるで違うと私は思います。Bさんは、今回、どうであれば勝算ありとお考えですか?
B
宇都宮さんが苦渋を重ねて苦闘してきた歴史の教訓にまなび、全候補による政策論争の場を、市民運動労働運動の力で作り出せたなら勝算の可能性が出てきます。そのときには候補は誰か問題はおのずと解決していると思います。
これがないかぎり、「左翼は自分だけという主張で分裂ばっかり」という、庶民感情をつくりかえることはできないと思います。
「山本太郎が知事選に強行出馬した背景とは? 説得した小沢一郎が「さじを投げる」まで」
〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース news.yahoo.co.jp
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200615-00000049-sasahi-pol
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A
おっしゃるとおり!
告示前に、二人で政策論争を始めるのが一番いい。
自力で立ち上がった者どうして議論する。そこに意味がある。まず、独自に立ってから。宇都宮さんも山本太郎さんも、記者会見で、まず独自に覚悟して立ち上がる意義を言っています。一本化はそれから。
B
ちょっと、私の(宇都宮さんはじめ歴史の)教訓をねじ曲げ――言葉がきついのはお許しください――ないでください。ふたりの政策論争なんてコップの中の~でしかありません。全候補の!です。
https://www.facebook.com/100000701074716/posts/3306013192765351/
「宇都宮さんと山本さん、票割ってドナイするん?選挙権のない愚生は嘆くしかないけど…選挙でこの国は変わらんと思うけどなぁ。何度同じ間違いをしたら気ぃ済むねん、嗚呼。 趙博」
これが、庶民の第一印象でしょう、、
A
(6月16日 10:46)
【予告なし街宣】東京・新宿駅西口小田急デパート前 2020年6月15日【れいわ新選組代表 山本太郎 】youtube.com
(6月16日 12:51)
歴史に学ぶと、既成野党の統一はクソくらえです。前回の宇都宮さんの苦渋の選択は誤りでした。同じ構図に山本太郎ははまらなかった。立候補会見と新宿での街宣を見て、私に投票権があるなら、山本太郎に一票を投じようと思います。
歴史に学ぶと、コツコツ実績つんだ市民運動勢力が束になっても小池・電通連合に届かない。私はもともと、知事は宇都宮さん。宇都宮さんには、れいわ候補として立ってほしい、だったら勝てると期待していました。山本太郎知事立候補のウワサは自民ダミー野党の撹乱だろうと。山本太郎はそれをかわして、宇都宮さんを応援するもんだと思っていました。しかしいつまでもれいわの動きも見えないなか、自力で立ち上がった宇都宮さんは立派だし、彼しかいないと思いました。政策も、いちいち妥当に思えます。
前回の辞退の後も、かわらず地道に都政改善に向けて活動されていることも、facebookやMLでフォローしてきました。普通なら太郎は宇都宮さんを応援するに決まってる。いち早く応援に回ればみんな大喜びなのにそうしないのは、タイミングの見計らいといった、なにかわけがあるだろう、と。
それは凡庸な考えでした。歴史は柵でもあります。
B
(6月16日 14:27)
ありがとうございます。きょういただいたメールは一つひとつ頷きながら読みました。
「既成野党の統一はクソくらえ」「前回の苦渋の選択は誤り」――繰り返し考えた私の歴史の総括と完全に一致します。
Xさんの勝手連だけでなく、(政党レベルでなく、運動レベルで)宇都宮さん支援の草の根の動きが出てきていることは、私以上にご存じと思います。そういう人びとはいま闘う意志を貫くために悩んでいると思います。しかしその人びとに対して、分かりやすく話す言葉を私はまだ持てていません。
運動の側がこれまでの、政党頼み、選挙と署名頼みの運動スタイルを、深く総括し反省しなければ、「クソくらえ」の野合統一と真の統一とを分けることはできないと思います。あらためて、いただいたメールに感謝します。
A
(6月16日 18:41)
山本太郎は「一人」として同じ地面に立っていて、宇都宮さんは実績の土塁の上から、同じ地面を見ている。
土塁から飛び降りて、並べるか。自ら当事者の声をあげられるか?代弁者ではなく。
(6月19日 9:52)
「山本太郎さんが、都知事選に出る!?今夜、山本太郎さんの立て看板とポスターを我が家の塀から外します。こんな選挙をして何になるの!本気で知事になる気があるの!とことん話して一本にしなければ勝ち目は、無い!名前をうるためなら宇都宮けんじさんに失礼です。真っ当な都民は、頑張っていますよ。 大木晴子」
宇都宮さん本人はともかく、宇都宮さん支持層は詰んでますね。残念ながら。こういうのがほとんどで、コメント欄も悲惨です。いわゆる、左翼は、決定的に古い!70年代学生運動の成れの果てだわ。名前は山本太郎の方が売れている。参院選全国区99万票は、去年のいま!
B
(6月19日 11:03)
同感です。「もとの仲間」のひとりとして残念ですが、事実ですね。というか、労働者、庶民の現実から遊離してしまっているから、こうなってしまったのだと思います、自戒を込めて。
宇都宮さんが、前回の「苦渋」をどう総括されたのか、徹底的に討議してみたい。政党頼みではダメ、と心底総括したならば、労働運動市民運動の力で出る道を選ぶべきでした。
「70年代学生運動」の総括とは、どの階級の審判を仰いで翻身を遂げるか、であったはず。結局は民権から国権へと転向したかつての自由民権運動の国士の道を辿ってしまっている。
A
昨日1時間ほど、Xさんの呼びかけへのレスポンスとして、宇都宮さん事務所でチラシ証紙貼りボランティアに参加しました。宇都宮さんへの応援を実地にしておきたいので。
行って、私のハラははっきりしました。宇都宮さんボランティアは、みんな普通に議員や弁護士を、その場にいない人のことまで「○○先生」と呼んでいました。
枝野先生が会見で、
宇都宮先生取材でお昼もできなくて可愛そう、
海渡先生と福島先生が来て、
とか。いやもう、古い。
なんとなく名指しはせず、にこやか穏やかだけど、もわっと、遠回しに、
太郎にガッカリ、だからこそ私は応援しなくちゃな、恨みまじりの悲壮な空気が漂っていました。
生徒会の詰め所みたいでした。若い人も中高年も、勉強真面目優等生だった、とりあえず生活は大丈夫層市民。
立憲民主の支持者と法律事務所の事務職員やアルバイトの人々の集まりという感じ。
お上品で蛮勇が感じられなかった。
例えば、経産省前テントの人たちは、コアメンバーほどスカッと山本太郎イチオシです。そしてもちろん宇都宮さんを支持しています。
参院選でも、それぞれ一ボランティアとして楽しそうに街宣やポスター貼りに参加していました。
もちろん「先生」なんて呼びません。
彼らは土性骨が違う。
B
居合わせていませんが、想像つきます。ある、ある、と。全国各地の住民運動も、「先生」方を呼んで集会と署名をするスタイルになって萎んでいきます。労働運動(一部)も弁護士「先生」頼みの裁判闘争オンリーになっていくと職場から浮いていきます。根本から作り直さないと!
テントの人たちのことは知りませんでした。そうなのですね!
A
当事者が自分でやる。この参院選でれいわが打ち出した方針が潮流となってきた。
B
この前、Aさんがお書きになっていた、宇都宮さんが「土塁から飛び降りて、並ぶ」道は望み薄なのでしょうか。率直なところ、きかせてください。
A
宇都宮さんが立候補表明した時も、テントのOさん曰く、
「宇都宮さんは素晴らしい、しかし勝つには、まず「先生」臭を宇都宮さん自身が投げうてるか、たぶん無理だろう、太郎ちゃんの応援にまわるなら資質を生かせるのに、」
と惜しんでいました。私も同感です。宇都宮さんは先生であり、先生が相応しい。時代が変わった。
宇都宮さん自身は内心それは解っているような気はします。共産党も。
立憲民主が蛇蝎で、もうがんじがらめにしているのではないか、という気がしました。選挙事務所に人員を大量投入している感じがしました。一時間ちょっと参加しただけの私の体感に過ぎませんが。
あちこちの作業テーブルの雑談から漏れ聞こえる「○○先生」の名の多くが立憲民主系で、私と同じテーブルの2人も、立憲民主の支持者だから宇都宮さんという風でした。5、6人連れだって来ていたから、立憲民主系事務所のひとなのでしょう。
B
社会党のころはまだ元気だった。学者出身でも土井たか子さんは地元で、小学生の私も憧れていた。知性があった。左翼が知性なくしたら右翼の勢いが勝つ。昔の社会党は爆弾男といわれ、今の文春砲どころでなかった、、
A
生徒会の内側しか見えてない。だから票が割れるなどと騒いでいる。生徒会の外側に、どんなに沢山のサイレントマジョリティ生徒や登校拒否、引きこもり、浮浪児、虐待被害者、その他多種多彩な、学校で学ぶ権利の持ち主が見えていない。そんな感じです。
生徒会に喩えたのは、メンタルが生徒だからです。一億総サラリーマン社会の帰結でしょう。
B
深く同感、、、
A
太郎は芸能界という下海世界から、さらに下海して自分のいた海を知り、さらに深いホンモノの海にいることが、街宣を視聴していて思います。海の様子を私に教えてくれます。
ユニバーサルと合流する潮流を。


〔注:中国語で、普通の生活から芸人、遊民、いわゆる江湖に身を投じることを、下海(シャーハイ)と言います。〕

A=森瑞枝、B=前田年昭、2020/06/13~06/19