繙蟠録 I & II
 

 索引は最新分参照

繙 蟠 録 II 2015年3-11月

2015/11/01 失敗を見おろす選良主義者は歴史のくずかごへ

水谷保孝・岸宏一『革共同政治局の敗北1075-2014 あるいは中核派の崩壊』白順社、2015.5は、主に清水丈夫政治局体制を対象としながらも、本多延嘉時代をも対象に「三つの負の教訓」と総括しており、なかでも「連合赤軍事件の外在化の誤り」(第11章第3節)には著者らが革命の志を持ち続けていることが読み取れ、共感を持って読んだ。72年の連合赤軍事件に対して、本多は「「総括」=リンチと銃撃戦は一つのものであり、たとえば「銃撃戦支持、リンチ反対」という立場は成り立たない」という「見解」を持ちながら「組織討議にはかけなかった。また対外表明しなかった」という。著者らは「しかしそれは、事態のもつ深刻さを同じ左翼として内在的にとらえ返すということからの回避にほかなら」ず、「誤りの根拠とその思想を内在的に批判的に解明し、それをのりこえる教訓化をはかるべきだった。そのことでラディカル左翼自身の「他山の石」とし、連合赤軍事件によって精神的打撃を受けている多くの労働者人民を励ますよう務めるべきだった」(pp.424-425)と総括しており、これは正しいと私は考える。
 これは真の共産主義者か似非共産主義者かの分水嶺である。典型的は反面教材を挙げておく。川上徹・大窪一志『素描・1960年代』同時代社、2007.3で川上は「新日和見主義事件」を振り返って次のように書く。「兵士たちが山岳のベースへと彷徨っていたちょうど同じころ、僕らは意気高く民青会館「解放区」の中にいた。そしてほんの数ヵ月の時差をもって、僕らもまた突然の敗北を喫した。突然ではあったが、時代に通用しなくなったという点では共通していた。歴史的に見ればほぼ同時消滅したのだった。/僕らは何に敗北したのか。それは、同じくもう一つの時代精神であったと言えるだろう。共産党の体現する時代精神に敗北したのだ。〔中略〕/しかし、僕らにとって救いだったのは、僕らは内側から崩壊したのではなかったということである。」(p.337)
 何のことはない、まるっきり他人事なのだ。敗北が内部からだったのならば、誤りや弱点を自ら克服することによって、敗北は勝利に転じることが可能である。しかし、徹底して外在化して、自らには誤りがないという。失敗をする人は仕事をした人である、という立場からすれば、川上らは何ら仕事をしなかったが故に失敗を外在化して平然とできるのである。こんな選良主義左翼には、世論を作り出すことはできず、したがって革命の事業をやることはけっしてできないだろう。そして、これは今や「国民運動」となった感のある反原発運動(の一部)に通じる、ある傾向を最もよく表しているのではないだろうか。(M)

2015/08/14 福岡と東京で組み継ぎ本講習会を開催

◆福岡市文学館小企画展「文林堂の活版印刷と福岡の同人誌」関連ワークショップ「組継ぎ本をつくろう」

  • 8月23日(日)10:30~12:30
  • 福岡市総合図書館3F 第2会議室
  • 詳細公式情報はココ
  • ◆組継ぎ本をつくってみよう at 西荻窪アトリエ・ハコさん

  • 11月3日(火・祝)10:30~13:00 / 14:30~17:00
  • 西荻窪アトリエ・ハコさん
  • 詳細公式情報はココ
  • ご参加をお待ちしております。(M)

    2015/07/14 今秋、大阪で「組継ぎ本展示会」開催

    大阪DTPの勉強部屋の宮地知さんのお声がけで、9月28日(月)から10月3日(土)まで大阪・クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町[ロビー]で「組継ぎ本展示会」が開催されることになった。主催:大阪DTPの勉強部屋〈osakadtp.com〉、共催:メビック扇町〈mebic.com〉

     このほど、作品募集の案内が届いたので、ここでも公開して応募を呼びかけます。作品提出締切は、9月25日(金)会場のメビック扇町18時必着。 (M)

    2015/05/23 専修大学で『モトシンカカランヌー』上映授業

    専修大学「総合科目(土屋昌明先生)」授業で『モトシンカカランヌー』(NDU日本ドキュメンタリストユニオン1971年作品)を上映します。ぜひお越しください。

  • 6月13日(土)9:00-12:15(上映94分+講義と討論)
  • 専修大学神田校舎 アクセス(地下鉄各線神保町駅九段下駅徒歩3分)
  • 特別ゲスト:井上修さん(NDU日本ドキュメンタリストユニオン)
  • 国境を越えるドキュメンタリー『モトシンカカランヌー』

     27度線――アメリカは1972年まで占領下においた沖縄と1952年まで占領下においた日本(本土)を引き裂き,往来すらままならなかった。米ソが朝鮮半島を南北に引き裂いた38度線のように。
     71年,NDUは「27度線」を越えてこのドキュメンタリーを制作,コザを中心に沖縄に強いられた政治的状況をとらえようとした。政治的・社会的最下層のモトシンカカランヌーたちの目は,沖縄に対する大和―日本本土との関係が差別,収奪,犠牲の歴史に他ならず,「本土復帰」は新たな第三次琉球処分だと明らかにしていく。
     このドキュメンタリーを公開当時,釜ヶ崎へ「下放」中の担当講師(前田年昭)は,日本本土の「革新」が実は「保守」と同じ貌をしていることを知って衝撃を受け,国境を越える思想と生き方を考え始める――

    参考図書:山城幸松・金容権『日本「帝国」の成立』日本評論社,『沖縄戦記 鉄の暴風』沖縄タイムス社 (M)

    チラシ(表)

    チラシ(裏)

    ダウンロード用高品質PDF
    2015/03/05 2年目の多摩美術大学生涯学習講座「本をつくる・歴史をつくる」ご案内

    多摩美術大学生涯学習プログラム2014通年講座「本をつくる・歴史をつくる II 紙が発明されて2000年」受講生募集
    (芸術人類学研究所/芸術学科書物設計ゼミ連携講座)

  • 前田年昭・平出隆 / (ゲスト講師)鈴木一誌・郡淳一郎
  • 5月9日,7月11日,9月5日,11月7日,2016年1月16日の土曜日(全5回)
  • 申込み〆切4月18日必着 ※締め切り日を過ぎても受講可能な場合もあります。また,1回ごとの受講についてもお問い合わせください。
  • 概要とお申し込みお問い合わせ先は下記をご覧ください。 
    なお,第2回の会場はブーザンゴ(千駄木)に変更です。(M)

    多摩美術大学生涯学習センター(講座番号1313)


    繙蟠録 II  14年11月< >16年4-12月
    web悍 Topへ