繙蟠録 I & II
 

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繙 蟠 録 II 2014年3-6月

2014/06/09 【ご案内】家辺勝文さんを迎えてKDU組版論特別講義

組版・タイポグラフィ論特別授業
自由のための読書 読む力と読みやすさの謎に迫る

7月19日(土)14:40-17:50,神戸芸術工科大学7号棟7101教室

この授業では,印刷・出版に関わる歴史と技術を読むことにまつわる広い文脈の中に位置づけ,表現力を高め読む力を身につける必要性について考える材料を示します。
1 人間にとって読むことの意味,および印刷による出版物の増加によってもたらされた読む条件の変化について
2 書物の読みやすさと書物を読む力の関係について

【講師プロフィール】
家辺勝文(やべ まさふみ)
東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。1979-2012年,日仏会館。2000-2008年,東京外国語大学外国語学部講師(非常勤)。「日本語文書の 組版指定交換形式」(JIS X 4052:2000)「日本語文書の組版方法」(JIS X 4051:2004)の原案委員会委員。著書に『活字とアルファベット』(法政大学出版局,2010)など。

※未選択学生,学外者の聴講可

2014/05/25 ミームデザイン学校における問題提起

ミームデザイン学校のブックデザインコース「タイプグラフィとレイアウト」を担当されている鈴木一誌さんからのお声がけで,第4回・余白のデザイン,第5回・行を理解するのゲスト講師として呼んでいただいた(第1回・紙のなかの重力,第2回・プロポーションという思考法,第3回・グリッドの運用)。

ここで私は,全角ベタ組を土台に組み立てられた現在の和文組版の相対化の試みとして,西洋音楽の受容という「近代化」と関連させて歴史的に再検討し,「補論」として問題提起した。以下が,当日のレジュメ(PDF)である。

前田年昭「ミームデザイン学校における問題提起(鈴木一誌さん担当“タイポグラフィとレイアウト”補論)」

「仮名に一定の同じ大きさの号数(ポイント)の活字を許して文をまとめ上げるユニフォームは,視覚言語の流れのその律動感を殺ぐこといちじるしい。…舶来の印刷機械が,土着文化をまさに“機械的に”支配した」との亀井孝の指摘にどうこたえるか。そのとき,ふと思いいたった「楽譜で“二分”“四分”というのは組版と似てるな,なぜだろう?」との問題意識からここしばらく西洋音楽の受容史を勉強してきて,いろいろ考えつづけているのです。

西洋音楽移入を決めた明治政府は,音楽という(組版以上に)身体に密着したところでの「近代化」に腐心したようです。ヨナ抜き音階,整列行進は苦手,等々。山田耕筰らはファ(ヨ)とシ(ナ)は避けて,1モーラ(拍)を1音に載せるところから,唱歌や軍歌など新日本音楽をこしらえていきました。そんな前史があるから40年前には日本語はロックにのるか論争があったりしました。

しかしどうでしょう,現在はラップにかぎらず,ロックやフォーク,レゲエでも束縛を解き放たれた日本語は「手の舞ひ足の踏むを知らざる」「乱世の音は怨みて以て怒る」さまです。あらたな詩の時代の到来といえるのではないでしょうか。

論証を深めなければ唐突,雑駁の謗りを免れませんが,活版組版の受容史と西洋音楽の受容史とは,日本「近代化」の本質を照らし出しているのではないでしょうか。そして,ここに先の敗戦という“切断”にもかかわらず,明治以来連綿と今にいたるまでつづく学校教育の問題があらわれているように私には思えます。とともに,急激な「近代化」という名の欧米への追従はそろそろリセットし,学校解体するときではないか,とも強く思うきょうこのごろです。(M)

2014/03/17 多摩美術大学生涯学習講座「本をつくる・歴史をつくる」ご案内

多摩美術大学生涯学習プログラム2014通年講座「本をつくる・歴史をつくる 文字と紙をめぐる時間」受講生募集

  • 前田年昭・平出隆
  • 4/19, 5/31, 6/28, 7/12, 9/20, 10/25, 11/22, 12/6の土曜日(全8回)13:00-15:30八王子キャンパス
  • 申込み〆切4/2水曜必着
  • お申し込み方法,お問い合わせ先は下記案内チラシか生涯学習センターのウェブページをご覧ください。 (M)

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    多摩美術大学生涯学習センター(講座番号1211)


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